自己紹介

中屋 佑紀 (博士・理学)

北海道大学 大学院工学研究院 環境工学部門
水環境保全工学研究室 助教

研究内容

環境中における有機物・無機物・微生物相互作用の追跡と解析

 

研究対象

水環境・土壌・堆積物・大気など地球表層環境全般+地球外有機物

アプローチ

分光測定法を中心とした手法開発・天然有機物を中心とした環境動態解析・モニタリング・反応速度論(物理化学)・画像解析(情報科学)

キーワード

腐植物質・溶存有機物・土壌有機物・水環境・下水処理・活性汚泥・蛍光分光法・紫外可視分光法・赤外分光法・大腸菌・薬剤耐性菌・メイラード反応・固体励起蛍光マトリクス分光法(SPF-EEM)・雨天時浸入水・老朽化・1H-NMR・Orbitrap-MS・画像分析・機械学習・深層学習

環境工学の抱負
  • 環境工学の分野で、土壌・堆積物など表層環境の地球科学や基礎的な生物学・物理学を通ってきた博士(理学)である自分にしかできないことを探して実践すること。
  • そのために一種類の技術や思想にとらわれず、新しい発想と哲学を常に追求すること。
  • 環境工学に地球科学の考え方と、現象や技術の物理化学的な捉え方を取り入れて世の中に示していくこと。
  • 常に「現場」の困りごとに立脚すること。

研究テーマ一覧

(共同研究者・協力者のご所属等は研究開始時もしくは論文執筆時のもの)
(A-1, OP-1, PP-1などの記号は教育研究業績ページの論文や発表の番号に対応)

固体励起蛍光マトリクス分光法(SPF-EEM)の環境試料への適用

  • 土壌や腐植物質の分析(A-5, OP-1, OP-2, OP-4)
  • IFE補正理論の確立(A-10, A-15)
  • 隕石や極地堆積物などの稀少で非破壊分析が求められる試料の分析
  • 水処理膜のファウリング物質
  • ゲル電気泳動によりゲル中に分画した腐植物質
  • 固体13C-NMRとの比較
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土壌や堆積物などに含まれる天然有機化合物(NOM)分析では多くの場合、アルカリ溶液により無機成分と分離したり、樹脂への吸脱着により濃縮したりする必要があります。しかし、近年抽出操作によるアーティファクトが問題視され、腐植物質研究の正当性が揺らぐ論争となっており、抽出を必要としない非破壊な直接分析法が求められています。そこで本研究では、環境試料などのヘテロな系に対して固体状態での励起蛍光マトリクス分光法(SPF-EEM)を適用し比較できるようにするため、消光補正を含む標準分析法の提案と、リファレンス用データベースの整備を目的とした研究に取り組んでいます。さらにSPF-EEMの有用性を示すために、共同研究者の先生方と極地堆積物や隕石などの希少試料の分析、水処理膜を閉塞させる有機物のモニタリング、多変量解析手法の適用、面分析手法の開発、ゲル電気泳動により空間的に分画したNOMの面分析による蛍光直接観測、現場での使用が可能なハンディ蛍光分光計の開発にも取り組む予定です。

水質に着目した下水浸入成分と浸入箇所の推定

  • 励起蛍光マトリクス分光法およびPARAFAC
  • 細菌群集構造
  • 無機イオン
  • Orbitrap-MS
  • 1H-NMR
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下水管老朽化によりひび割れ等の破損部分が発生すると、雨水や地下水が浸入し処理場の容量をひっ迫させ、さらに大規模な破損が発生すると下水管上部の土砂が管内に流入し陥没の危険性が高まります。我々はこれまで、下水管のひび割れから土壌由来成分が、そして雨水管との誤接続箇所から道路排水由来成分が浸入すると想定し、マンホールやポンプ場、下水処理場で採取した下水中の溶存有機物に着目した雨天時浸入水調査を提案してきました。蛍光分光法は溶存有機物分析の中で最も前処理が少ない簡便な手法の一つであり、特に蛍光性成分は土壌の水抽出液に腐植物質画分として普遍的に存在し、土壌学の分野では土壌の特徴の把握のため長く研究されてきました。土木工学の分野にいながらこれまで土壌有機物の研究に取り組んできた自分ならではの手法と着眼点で、下水インフラの劣化問題に取り組んでいきたいと思います。

画像解析による水処理過程や水環境の診断

  • 活性汚泥フロック(沈降性・脱水性・細菌吸着能力)(A-11, B-3, OP-3, PP-5)
  • 糸状菌の定量
  • 懸濁粒子(SS)成分
  • 嫌気消化汚泥(脱水性)
  • バイオフィルム・付着藻類
  • 活性汚泥沈降・凝集の動画解析(OP-3, PP-6)
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都市部の大規模な下水処理ではデジタルトランスフォーメーション(DX)や微生物工学的アプローチによる処理の効率化・高度化を目指した研究が進められていますが、地方の小規模下水処理場は大きく遅れています。経営面、熟練技術者確保といった人材面の問題を多く抱える地方の小規模処理場や発展途上国の処理場を効率化・高度化の波から置き去りにしないために、我々は特別な装置を必要とせずスマートフォンのカメラ機能などを利用した導入コストの低い下種処理の画像診断手法の開発に取り組んでいます。活性汚泥の画像や顕微鏡と組み合わせた拡大画像からは、汚泥の全体的な形状や糸状菌などの比較的マクロな状態が解析できます。排水基準に関わるBOD(生物化学的酸素要求量)成分や懸濁粒子や細菌の除去は、活性汚泥への吸着や、汚泥の沈降性、脱水性などといった物理的な汚泥性能に左右されています。画像解析は、細菌による有機成分の生物化学的分解を捉えることは難しいものの、このような物理的性能の診断には有効だと考えられます。小規模処理場において排水基準に定められるような下水処理に最低限求められる処理能力に着目することは、小規模施設を補い全国の下水処理能力の底上げを担う意義があり、我が国の地方の農産物・水産物・水源・水環境の安全を科学的に保障することにつながります。

センサー開発の分析化学(B-2)

1. DNA修飾金ナノ粒子を利用したDNAおよびRNAの比色定量法の開発と適用
  • 手法開発・原理解明(A-9, A-12)
  • アンモニア酸化細菌(A-9, A-12)
  • 腸管出血性大腸菌(O157)(A-9)
  • コロナウイルス
  • インフルエンザウイルス
2. マイクロプレートリーダーと特定酵素基質培地による細菌の簡易・迅速・多検体定量
  • 大腸菌(A-13)
  • 大腸菌群
  • 薬剤耐性腸球菌・多剤耐性緑膿菌
3. DNAアプタマーの開発と水環境への適用
  • ヒ素(A-7)
  • レジオネラ菌
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準備中

活性汚泥の吸着のメカニズム解明

  • 反応速度論的解析(PP-7)
  • 吸着等温線
  • 大腸菌の吸着(A-16)
  • 懸濁粒子の吸着
  • 表面の化学的特徴の簡易分析
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準備中

水環境の分析・水質モニタリング

  • 下水および下水処理水の環境中への拡散
  • 励起蛍光マトリクス分光法およびPARAFAC
  • 細菌群集構造
  • Orbitrap-MS
  • 1H-NMR
  • 薬剤耐性遺伝子の消長
  • 抗菌薬の消長
  • 大腸菌の再増殖
  • CODの分類(自然由来か人為由来か)
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準備中

下水中医薬品成分に着目した下水サーベイランス

  • 解熱鎮痛剤
  • 抗菌薬
  • 生活習慣病治療薬
  • サプリメント
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準備中

未知細菌の探索と機能推定・培養法の確立

  • 基質の減少の追跡(A-8)
  • PET製造廃水処理(A-8, A-17)
  • グラニュール(A-14)
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準備中

腐植物質の分解生成

  • メイラード反応の反応速度論(A-1, A-2, A-3, A-4, PP-1, PP-2, PP-3, PP-4)
  • 水熱分解(A-4)
  • 腐植物質の分解とCO2生成(A-6)
  • 有機無機相互作用の反応速度論(A-3, A-6, PP-4)
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準備中

職歴 等

  • 北海道大学大学院工学研究院 環境工学部門 助教 2021年4月~現在に至る
  • 学校法人常翔学園 摂南大学 教務部 学習支援センター 特任講師 2020年4月~2021年3月
  • 日本学術振興会 特別研究員(PD)2019年4月~2020年3月
    (大阪大学 理学研究科 宇宙地球科学専攻 地球物理化学研究室)
  • 日本学術振興会 特別研究員(DC2)2018年4月~2019年3月
    (大阪大学 理学研究科 宇宙地球科学専攻 地球物理化学研究室)
  • 藍野大学 非常勤講師(数学基礎Ⅰ)2018年4月~2018年8月,2019年4月~2019年8月
  • 大阪工業大学 非常勤講師(物理学実験)2017年4月~2020年3月
  • 大阪大学大学院理学研究科 リサーチアシスタント 2017年7月~2018年3月
  • 大阪大学大学院理学研究科 リサーチアシスタント 2016年7月~2017年3月

学歴

  • 大阪大学大学院 理学研究科 宇宙地球科学専攻,博士(理学)2019年3月修了
  • 大阪大学大学院 理学研究科 宇宙地球科学専攻,修士(理学) 2016年3月修了
  • 大阪大学 理学部 生物科学科生命理学コース,学士(理学) 2014年3月卒業
  • 山口県立山口高等学校 2010年3月卒業

所属学会・所属研究会・役職等

  • 土木学会 会員
    (環境工学委員会委員 2023年4月~現在に至る)
  • 日本分析化学会 会員(北海道支部)
    (北海道支部編集委員 2023年4月~2025年3月)
    (北海道支部幹事 2025年4月~現在に至る)
  • 日本水環境学会 会員(北海道支部)
    (原著論文編集部会 2023年4月~現在に至る)
    (北海道支部幹事 2023年4月~現在に至る)
  • 日本腐植物質学会 会員
    (広報委員 2024年11月~現在に至る)
  • 日本地球化学会 会員
  • The International Water Association 会員
  • Japan-YWP 会員
    (運営委員 2025年4月~現在に至る)
  • 下水道広報プラットホーム 会員
  • 大阪大学若手FD研究会 会員
    (代表 2022年7月~現在に至る)
  • 大阪大学未来の大学教員養成プログラム(阪大FFP)修了 2017年3月
  • FFPアルムナイ・アカデミー 会員
  • 大阪大学SEEDSプログラム アシスタント 2017年4月
  • 大阪大学SEEDSプログラム アシスタント 2018年4月
  • 大阪大学SEEDSプログラム アシスタント 2019年4月
  • 大阪大学SEEDSプログラム ゲスト講師 2020年4月
  • 高等学校教諭専修免許状(理科)
  • 大阪大学ミニ・オープンキャンパスin福岡 模擬授業講師 2018年7月