大阪大学の全学教育推進機構・教育学習支援部が開催する,「トランスファラブル・スキルズ・ワークショップ」に参加してきました.
研究だけでなく,社会とのかかわりや自身のキャリア開発にも生かすことができる「転用可能な汎用な能力:トランスファラブル・スキル」の習得を目的としたワークショップで,専門分野の異なる大学院生と交流しながら新たなスキルを開発する機会となりました.
私は研究者(のタマゴ:大学院生)という立場でトランスファラブル・スキルズを開拓してゆくことになりますが,このような研究者に求められるスキルは,イギリスでは”Researcher Development Framework (RDF)”としてまとめています.
RDFの日本語版の説明がJREC-INにあります.我々がアカポスを探して張り付いている研究者求人ポータルですね.
さて2017年度もいくつかのワークショップが開催され,私はそのうち,
- 「やさしく伝える」ためのパラフレーズ・ワークショップ
- 「きちんと伝える」ためのパラグラフ・ワークショップ
- 専門外の人に研究の内容と意義を分かりやすく説明する方法
- 身体表現の手法を用いたセルフプロデュース術
に参加しました.
では,非専門のひとを相手にして研究の話をする難しさを実感しました.
例えば「有機物」という言葉がすんなりと通じる人にも範囲があります.自分の研究の説明に必要な「有機物」という言葉についての前提説明を長々と先に話す必要があるが,前提の説明をだらだらと話すと,研究について一番主張したい「トピック・センテンス」は薄れてしまう…
他の言葉で言い換えられないか,そもそも専門外の人に伝えるトピック・センテンスは前提説明を必要としないものであるべきではないのか...
かなり頭を使って研究の紹介を考えても,意外と伝わらないものなんですね…
では,タイトル通りに分かりやすい説明のためのTipsを学んだほか,「研究に必要な7つ道具」という切り口から自分の研究を紹介するというワークがありました.
また,特に印象に残っているワークとしては「自分の研究内容を他の人に紹介して,キャッチコピーをつくってもらう」というワーク.
まず,前提として研究の内容と意義を相手に正確に伝えることは重要ですが,逆に相手が自分で気づけていなかった自分の研究のオイシイところにくれたりして,双方向に学びのあるワークだったと思います.
さて,自分のキャッチコピーはというと…
やっぱり書かんとこ.
セルフプロデュース,と言っても,ダンスで生計を立てるとか,きれいなクビレを手に入れてインスタグラムでフォロワーを増やすとか,そういったことではありません.
ヨガの観点から,自分の体調を知るための軽い体操や,精神を落ち着かせる体操などを学んだほか,言葉ではなく身体を使ったコミュニケーションの体験をしました.
下記の写真は,2人でペアになって互いの右手人差し指同士で一本の割りばしを両端で押し合って支え,「言葉を発さずに」「割りばしを落とさないように」部屋の中を移動したり,回転したりするペアワークの写真です.
当然,割りばしはそれぞれの人差し指との摩擦力で支えられているので,指が離れないようにお互いは少しだけ相手を割りばしを介して押す必要があります.
しかし,押す力が強すぎれば軸がぶれて割りばしは落ちるし,動き回る必要もあるので,力の具合によっては相手が後ずさりしてしまうかもしれません.
面白いのは,ペアの相手によってはかなりうまくいくときもあれば,全くうまくいかないときもありました.
また,両手を使って複数人で連なって同じワークをやると,両手で割りばしを介して脇の2人をつないでいる真ん中の人が潰されたり,両脇が離れようとしすぎて両手を広げても届かなくなってしまったりします.
言語を使わずアイコンタクトや指先のわずかな感覚を研ぎ澄ませて相手の意思を感じる不思議なワークとなりました.
相手の呼吸を感じる練習,という意味では,合唱や吹奏楽の団体でワークショップとして実践してみると楽しいかもしれません.
では,また.