今日は筆が進むので,ついでに研究室配属のジレンマについて.
多くの理系の研究室では,学科のルールで研究室配属は3年生か4年生から,ということになっています.
4年生になった4月を配属時期にするというのが経験上いちばん多いけど,3年生の4月や3年生の途中(10月など)にするケースもよく聞きます.
現職も4年生4月配属なんだけど,これは個人的に研究室運営上のデメリットが2つあります.
ひとつは,3月に卒業して大学を離れるB4やM2からの技術・資料・試料・知見の引き継ぎができないこと.学生同士で引き継ぎしてもらえると,先生の時間の節約にもなるんだけどな(もちろん危険な作業や重要な試薬についてはつきっきりで教えるけど).
なので,学生同士の引き継ぎを狙うなら,どうしても新M1と新B4のテーマやコア技術を近づける必要がある.2年連続類似テーマでやると,その2学年の卒論発表と修論発表は被らないので,2月の発表会で「同じテーマで2人がやってる」感が出ない.もし新M2と新B4の組み合わせにして2年間隔でテーマが似ると,毎年の卒論と修論でテーマが被るひとが出てくるというわけです.
意識的にB4とM1のテーマを50%くらい被るようにしておけば,学生間での引き継ぎもできるし,次の年の新B4とM1も同様に50%くらい被らせれば,理論上はその年の卒論と修論は25%くらいしか被らないということになります.
もうひとつのデメリットは,4月に研究室配属しても,夏の大学院入試に向けて研究を離脱する学生が出てくるということ.
卒業研究は卒業要件なのだから,研究は継続しつつ勉強しろよ,とは思うけど,自分もB4の時は受験勉強に集中するために研究の手を止めていたし.
損して得取れ,と言いますが,院試を無事に通過してくれたら,+2年ほど一緒に研究を進める仲間(※学生のこと.決して「無料の労働力」ではございません)との時間が増えるので,院試を突破してもらうことはとても重要なのです.
どれくらい研究してどれくらい勉強に時間割いていいか(これはバイトや部活や就活の時間の割き方のルールにも言えることだけど)は,各研究室の裁量に任されています.
これは根拠のない妄想なのですが,ここの足並みが研究室間で揃っていない場合は学生からの不満が出るでしょうね.
たとえば自分の研究室は日中は研究(実験)しかしてはいけなくて,勉強は夜などの研究時間外にやりなさいというルールになっているし,それが守られない場合は卒業研究が認められない場合もある.
なのに,隣の研究室は4月に配属されてから8月の院試までは研究テーマを与えられず,実質フルで受験勉強ができる.しかし入試の枠は一緒.みたいなことがおこるわけです.
(※あくまで妄想の話ですよ!)
私は受験勉強は1か月もあれば足りるだろう,という判断で,入試1か月前くらいからは研究スピードのダウンを認めているけど,ま,基本的にはこれは強制できるようなものでもないです.
というわけで,4,5月に頑張ってB4を研究の軌道に乗せても,7月くらいには離脱していくんですよね.んで,9月くらいに浦島太郎になって戻ってくるわけです.これがデメリットの2つめ.
かといって,3年生の後期とかから研究室配属するとどうなるか?
おそらく,研究室のスペースが足りなくなる!
場所だけでなく,指導の時間も,机やパソコンなどのリソースも,かなり逼迫されることが予想されます.
さらには,専門科目の授業の余裕もなくなります.うちのように2年生からコース配属になる大学ならなおさらです.専門科目はやはり非常に重要なので,これをギチギチに詰めたり減らしたりするのは難しいでしょう…
妥協点として考えられるのは,3年生の1,2月に配属ですが,卒業・修了予定の学生は論文で忙しいし,3月は引越し準備とかの中,短い付き合いになる後輩と仲良く引き継ぎをできるかと思うと,気の毒な話にも思えてきます.
おそらく,いろんな考えがあって4月配属に落ち着いているんだと思います…